もうすぐ JIMTOF(ジムトフ)

2年に1度、東京で工作機械全般の大きな見本市が、秋に開催されます。

これが、JIMTOF(ジムトフ)日本国際工作機械見本市です。

<公式サイト>
JIMTOF

会場は最近エスカレーターの事故で大騒ぎになってしまった、東京ビックサイトです。
あの大きな会場を使用するだけあって、とてもスケールの大きな展示会となっています。
なんでも、世界の三大工作機械見本市に数えられるとか。
最新のマシニングセンターが展示され、工具や検査具はもちろんのこと、CAD・CAMソフトや切削機械の周辺部品まで、切削加工に関する、ありとあらゆる物を紹介している見本市なのです。

私は一昨年、見学の機会を頂きました。
あの頃は、入社してから1年くらいしか経っていなかったので、見ていても、よくわからないことが多かったのですが…。

それでも、
「金属を加工する上で、こんな道具がある」
という知識がたくさん増えまして、その後の仕事に役立ちました。

高速のマシニングセンターとか、見ているだけでも面白いですし…。
(自分の勤めている工場の機械が、如何に古いか思い知らされました)

今年、2008年も、10月末から一週間くらいの予定で開かれるようです。
もし、会社が見学者を募っているようでしたら、是非手を上げてみてください。


ちなみに見学のポイントとしては、名刺を持っていると、メーカーさんに喜ばれます。
会社が作ってくれるようなら、持っていきましょう。
まあ、あんまり配ると、あとで営業の電話がたくさん来てしまうかもしれませんが…。

あと、会場に着いたら、とりあえず工場でよく使っている工具メーカーさんの展示場を探して、資料を貰っておくと良いでしょう。
メーカーの営業さんは、見学者の勤務している会社をチェックしています。
(展示会の入り口で、会社名入りの名札を貰うので、ぶら下げていれば営業さんが目を光らせています)
もし、営業さんが、自分の勤めている会社を知っていれば、より親切に接してくれるはずです。

…で、貰った資料を持ってウロウロしていると、同じような業種の他社メーカーさんも、声をかけてくれることが多くなります。
話しかけてもらえる、きっかけになるのです。
せっかくの機会なので、日ごろ疑問に思っていることなどを質問してみるのも良いでしょう。

あと、工具のカタログは読んでいると勉強になります
体力に余裕があったら、何冊か貰っておいて、参考書にすることをオススメします。
posted by center drill at 23:47 | Comment(4) | コラム

金属切削加工の工場には、どんな部署がある?その1

今回は、まだ工場の現場を知らない方のために、どんな部門があるのか紹介したいと思います。
求人広告で工場の仕事を見つけたけれど、どんな仕事か不安…という方に、参考にしていただければ幸いです。

もっとも、工場で働いて3年の、段取り作業しか知らない人間の書くことですので、その点をご了承ください。


<オペレーター>
工場の現場で、とにかく機械を動かすのが仕事です。
具体的には、加工指示書を読んで、加工する金属製品を機械に取り付けます。
そして、機械のスイッチを押す、というのが主な仕事です。

機械がスムーズに動くよう、油類の補給や、刃物の交換なども行います。
現場での検査や、次工程への運搬も仕事です。
正確で、素早い行動が求められます。
最近の工場は24時間体制の場合が多いので、2交代、3交代制での勤務を要求されることがあります。
重量物は、ほとんどクレーンやフォークリフトを必要とするので、案外、力は必要ないようです。
しかし、体力を使う仕事には違いありませんし、もっとも事故の多い仕事でもあります。
機械を動かしているのは、とにかくオペレーターさんなので、この方々がいないと、製品が生産できません。
ボイコットされると、会社が一番困るのは、この人たちのはず…なのですが、真面目な方が多いようで、文句を言いながらも黙々と作業をされています。
(というか、「真面目」というのがこの仕事で一番大切なスキルのように思います)

そのほか、オペレーターに必要な能力は、体力、注意力、器用さだと思います。
資格として、玉掛け(資格)、天井式クレーン免許、フォークリフト免許あたりを持っていると、喜ばれます。
(場合によっては必須なので、会社で奨励されると思いますが)


<段取り>
このブログの内容は、段取りの仕事の説明となっています。
はじめに」の「そして、現場へ…」などでも書いていますが、オペレーターが加工しやすい状態に、準備をするのが段取りの役割です。
図面から製品を加工する順序を考え、機械にセットする方法や、使用する刃物を決めます。
NCプログラムの作成も行いますが、最近は全てCAMソフトで作成してしまうこともあるので、段取りとは分化して、専門のプログラマが存在するかもしれません。
そういう、製品の加工方法を考え、現場がやりやすい状態にしておく作業全般をまとめて、段取りと言います。

段取りも現場作業が多いので、危険が付きまといます。
24時間体制の向上の場合、夜中も機械を動かさないといけないから…という理由から、残業を強いられることも多いです。
(オペレータは交代制で大変だから、段取りに応募しよう…などと考えていると、どっちも大して変わらなかったりします)

ちなみに切削加工業で「プログラマ」「CAD作成者」などを募集していた場合、この段取り作業の中の、現場作業が少ないもの、と考えるのがよいと思います。

段取りに必要な能力は、とにかく「三角関数」(笑)。
座標計算なども必要になるので、数学が得意なほうが有利です。
(とりあえずは三角関数の基礎だけおさえれば、どうにかなります)
デスクワークから現場まで、仕事が多岐にわたるので、PCの操作、フォークの免許、溶接、図面を読む知識…出来ることが多ければ多いほど活躍できる仕事のようです。


<検査>
工場の検査というと、目視による傷確認が多いようですが、切削加工の場合は寸法確認がメインとなります。
(目視検査も大切な仕事ですが)

ノギス、三点マイクロ、シリンダーゲージといった専用の検査具を駆使し、図面の要求する品質をクリアしているか確認します。
どんなに高い切削加工技術を誇ったところで、検査がその品質を保証してくれないことには、技術を証明することが出来ません。
技術の高い会社とは、検査技術も高くなければならないのです。

段取りで、「三角関数」が必須といいましたが、検査はそれ以上に「三角関数」です(笑)。
図面の意図を正確に把握する、論理的な思考が要求されます。

また、段取りが加工した製品をオート加工してもよいかどうかの判断は、検査部門の担当となります。
その関係上、段取り以上に理不尽な残業を強いられることがあります。
(本当にごめんなさい)

最近は三次元測定機が主流なので、CADの知識も重宝するようです。
環境については、他の部門に比べて安全・衛生的ですが、金属の寸法計測は20度の室温で確認することになっているため、作業場がとても寒いです。
(金属は温度で伸び縮みするので、20度を基準にしているのです)
寒いのが苦手な人には、辛いかもしれません。


☆関連☆
金属切削加工の工場には、どんな部署がある?その2

金属切削加工の工場には、どんな部署がある?その3
posted by center drill at 00:03 | Comment(2) | コラム

金属切削加工の工場には、どんな部署がある?その2

<手仕上げ>
マシニングセンターでは加工しきれない部分を、ヤスリや専門の器具で仕上げる部門です。
マシニングセンター主流の工場では数少ない、手先の技術を専門とする、職人集団です。
面取り、傷修正、部品組み立てなどの作業を行います。
形状加工をボールエンドで行う場合、どうしても細かな凹凸が残るため、それを磨いて整えたりもします。
基本的に、機械加工を終えた製品ばかりを扱うので、神経を使う作業が多いです。
手先の器用さと、集中力がモノをいう部門です。


<旋盤、フライス盤>
マシニングセンターが出現する以前から、金属加工の主流だった、旋盤、フライス盤などの工作機械を専門に扱います。
技能五輪に代表される、日本の技術の真髄は、ここにあります。
(というか、マシニングセンターの技術者って、職人としては全然評価されません。知識が中心になるので、仕方ありませんが)

マシニングセンターの場合、私の知っている範囲では、0.01、百分の一ミリの誤差が限界です。
(それ以上となると、設備への投資がたくさん必要なのだそうです)
しかし、それを超える精度を、手先の感覚と、勘で解決してしまうのが、この機械を担当する職人さんたちです。

その会社の技術力の最大値、もしもの時の神頼み。
どうしても精度の出ない加工を、最後の手段で解決します。

以前に比べ、需要は減っているものの、この技術は今後も必要とされることでしょう。
もし、挑戦する機会に恵まれましたら、ぜひ、職人の道を極めてください。

手先の不器用な私は、尊敬するばかりです。


<品質管理>
名前のとおり、管理色の強い部門です。
けれども、品質の保持は、現場の経験が長くなくては対応できません。
結果、段取りなどの現場経験の長い方が、最終的にたどり着く部署…というイメージがあります。
製品の精度を安定させるための規定を考えたり、新人の技術指導を行なったりします。
精度に問題があり、不良になりそうな製品の対策を考えたりもします。

…新人の頃は、特にたくさんお世話になりました…。


<工具管理>
製造現場で使用する、工具全般の管理を行う部署です。
ボルトやナットといった小部品から、治具や運搬装置など、扱う品は大量にあります。

しかし、マシニングセンターの場合、一番重要な工具といえば、刃物になります。
ひとつの製品を加工するだけで、数十本の刃物を使うこともありますし、刃物の磨耗が激しい難削材を削る場合、頻繁な工具交換が必要です。

それらを全て管理するわけですから、一筋縄ではいきません。
間違った刃物を選んでしまうと、製品を不良にしたり、工作機械を故障させてしまう恐れもあります。
厳密で、正確な管理を行わなくてはならないのです。

また、工具は一本で数万円というものもザラにあります。
在庫の管理をしっかり行ない、磨耗した刃物で再利用が可能なものは再研磨を検討するなど、高いコスト意識も必要とされます。

データベースを構築するデスクワークの能力と、現場に負けない工具知識を要求される部門です。

☆関連☆
金属切削加工の工場には、どんな部署がある?その1

金属切削加工の工場には、どんな部署がある?その3
posted by center drill at 00:21 | Comment(0) | コラム

金属切削加工の工場には、どんな部署がある?その3

<生産管理>
加工する製品の納期と在庫を考えて、効率のよい生産計画を立てる部署です。
マシニングセンターを利用する金属切削加工の場合、基本的に「多品種少量」生産の現場が多くなります。
そのため、めまぐるしいセット替えが発生し、計画を立てるのも一筋縄ではありません。
製品や機械の特製を理解していないと、予定通りの加工が出来ず、計画に大きな支障が出てしまう、責任重大な仕事です。
まさに、頭脳労働です。

それに加え、納期が絡む関係上、顧客や営業からの圧力も厳しいです。
計画がムチャだと、当然、現場サイドも騒ぐので(休日出勤や、残業は勘弁して欲しいですから…)、板ばさみになることも多いようです。
中間管理職の宿命を常に背負ってしまう、非常に大変な部門と言えるでしょう。

そういった理由からか、求人広告を見ても、生産管理者の募集は、条件が厳しいことが多いです。
もし、この部署に配属されることがあったら、会社からも期待されていると考えてよいでしょう。
しっかり勉強すれば、広い視野を持った人材になれるはずです。


<事務>
製造業の事務は、書類作成や経理、電話応対といった、現場のバックアップが基本になります。
現場サイドはパソコンをあまり使わない部署もあるので(職人さんの集団とか)、パソコンでないと作れない書類をたくさん押し付けられることもあるようです(笑)。

基本的に、事務関係の仕事は、他の業種と変わりないと思いますが、金属加工の場合、顧客との繋がりは、会社対会社。
電話からのクレーム対応に、事務の方が直接対応する必要がない点は、メリットと言えるかもしれません。

あと、製造業特有の考え方に、「改善」があります。
今では、どの業種でも一般的になった改善ですが、それでも、製造業における「改善」への執念は、他にはない、しつこさがあります。
社員一人一人に改善をノルマとする会社も多いですし、評価の対象にもなります。
現場の場合、生産に直接影響するので、比較的改善のアイディアも出しやすいのです。
しかし、事務の場合、生産を増やすのに直接関与できないため、どうしても間接的なアイディアに偏りがちです。
結果、不公平感があります。
あまりにも「改善」を前面に押し出す会社だと、それが苦痛になってしまうかもしれません。

それでも、改善のアイディアが評価されるのは嬉しいことですし、製造業の雰囲気に合うようなら、他の業種の事務作業よりも、やりがいがあると言えるでしょう。


<営業>
仕事を貰ってくるのが営業さんの仕事です。
仕事がなければ、お金をもらえませんから、会社の中でも重要な役割です。

事務の説明でも書きましたが、金属切削加工業の場合、お客様との応対は会社対会社。
金属を削って欲しいなどという需要は、どこにでもあるわけではありませんから、太いパイプを作っていくしかありません。
結果、担当となる顧客の会社が割り振られ、地道に信用を築いていくしかないようです。
ただ、どこに需要が転がっているかわかりませんから、情報収集が要。
自分の勤めている会社にどんな加工が可能なのか、技術力を把握しておくことも重要でしょう。

現場の人間からすると、図面を読む力も押さえていただきたいです…。
(今ある機械ではとても加工できない、というような仕事を回されると、途方にくれます)

あとは、昔ながらの営業のイメージである、お客様への接待的なものも、根強く残っている…という話を小耳に挟みました。
どこもそうなのか知りませんが、こういうのは、なかなか変わらないようです。

☆関連☆
金属切削加工の工場には、どんな部署がある?その1

金属切削加工の工場には、どんな部署がある?その2
タグ:改善
posted by center drill at 22:25 | Comment(4) | コラム

狂いのない時計

新聞を見ていると、時々、大学の研究チームが、精度の高い時計を開発した!…なんてニュースを見かけます。

最近も、原子時計を越える光格子時計が開発されて、数千万年に一秒しか狂わないと、紹介されていました。

今までは、「そんなに精度の高い時計なんていらないじゃん」と単純に思っていました。
人類が、数千万年後も存続しているとは思えませんし…。

しかしです。
製造業に携わるようになった今、少し考えが変わりました。
「より精度の高い基準が必要」なことが、わかってきたからです。

具体的に言うと、検査具の問題です。
製品を加工したあと、寸法を確認するために毎日使用している検査具ですが、日常点検が欠かせません。
三点マイクロでマスターリングを計測したり、ノギスでブロックゲージを測ったり。
検査具の測定値が正しいことを確認しないと、製品の寸法が正しいことも保証できません。

しかし、ここで疑問が残ります。
三点マイクロやノギスの精度を保障している、マスターリングやブロックゲージが狂っていたらどうするの??
…という問題です。
けれども、この点も抜かりなし。
工業の世界は本当にきっちりしています。

基準となる計測器具は、更に精度の高い計測器を使って、定期的な点検を行っているのですね。
場合によっては、専門の業者に依頼して、確認しているそうです。
私はこの話を検査担当の先輩に聞いた時、とても驚きました。

つまり、検査具は、より精度の高い計測方法を用いて、保障していく繰り返しになっているわけです。
ということは、より精度の高い計測方法が、際限なく必要になる…ということです。

金属切削加工に必要な検査具は、ほとんどが寸法にかかわる物ですが、「時計」についても同じことが言えるのでしょう。
より精度の高い時計が存在することで、保証できる時間の基準が、より強固なものになるのですね。

もっともこれは、製造業に携わる者の視点であり、科学者は単純に、より細かい時間を計測するために、精度の高い時計を必要としているのかもしれませんが。


私にとっては、製造業に携わることで、新たな視点を獲得できたことが、大きな感動でした。
これだけでも、この業界に飛び込んだ価値があったと思います(笑)。
タグ:検査具
posted by center drill at 23:14 | Comment(2) | コラム

健康から工場環境を考える

働いていて、健康被害が気になるのが、切削油です。
加工が終わったばかりの、マシニングセンターの中は、濃霧と言っても過言ではないほどの、オイルミストに満たされます。
古い機械だと、加工中の機械から、ミストが漏れて、工場にたちこめているのがわかる…!

切削油の缶をみると、「安全」をうたっているのですが、やはり不安です。

しかし、私の勤めている会社では、先輩方が立ち上がってくださいました。
まずは社長に直談判。
マシニングセンターに「ミストレーサー」という装置を付けてもらいました。


切削油の霧を吸い込んでくれる装置だそうです。
値段が高いのですが、健康には変えられないと言うことで…ありがたいです。
(考えてみると、この不景気の、少し前のことでした。今だったら、なかなか許可してもらえなかったかもしれません)

これが意外にも大活躍です!
機械の扉を開けた時の、霧の量が全然違います。
霧が晴れるまで待つ時間が無くなりました。
結果的に、段取りも速くなりました(笑)。


あとは、最近よく聞く「ドライ加工」です。
加工条件や刃物によっては、切削油を使わなくても平気であることは、前から知られていました。
しかし、今までの加工方法を変えるというのは、なかなか勇気がいります。
先輩方も躊躇されていたようなのですが、健康について本気で考えよう、ということで、実施されました。
難しい加工以外であれば、案外、問題なく削ることが出来るのですね。
驚きでした。
切削油の消費も減って、良い感じです。

今でも、クーラントオフのまま加工するのには違和感があって、恐る恐る、という感じではありますが。


今回の、会社の動きを見ていて感じたのは、問題意識を現場が持つということです。
本気で考えないと、どうしても行動が遅くなりがちです。
目的を持って仕事をした方が面白い、ということにも気がつきました。
不況を乗り切るヒントも、この辺にあるのかも…

…なんて、末端社員のクセに、生意気にも考えてみたりしたのでした。
posted by center drill at 18:09 | Comment(4) | コラム

改善のヒントを考える

なんだか、職場が突然、暇になってきました…。
不況、恐るべし。

忙しすぎるのも嫌ですが、仕事がないというのはもっと嫌です。
お給料を貰っている以上、ぼーっとしているわけにも行きません。
何か、仕事をください…。

そんななか、改善活動に力を入れよう、という会社も多いのではないでしょうか?
トヨタの本を読んでいると、忙しい時ほど、改善に力を入れよ、と書いてあるのですが…暇な時には、暇な時しか出来ない改善もあるはずです。
よりよい職場にしておけば、忙しくなった時にも、良い仕事が出来ると思います。

そこで、私なりに改善のアイディアの種になりそうなことを、まとめてみました。
たいしたことは書けませんが、何かの参考になれば、幸いです。


☆加工時間を短くする
金属切削加工の現場で、一番効果の大きな改善は、加工時間を短くすることです。
時間を短くする…ということは、一見、納期を早めることが出来る、ということのように感じます。
しかし、加工時間が短いと、その分、他の仕事を引き受けることが出来ますから、売り上げも伸びます。
(仕事がないのは、別の問題ですので…)
1個1000円の加工に、1時間かかっていたものを30分に縮めれば、1時間に2個加工できるので、2000円稼げるようになる…という考え方です。
結果的に、安く作ることが出来る、ということでもあります。

ひと月に、何十個、何百個と加工している製品であれば、ほんの少し加工時間を縮めただけで、とても大きな改善効果があります。

加工時間を縮めるためには、
・刃物を見直す(切削条件を見直す)
・加工方法を変更する
・一度に複数の製品を加工する、多数個加工にする
・治具に製品を速くセットする方法を考える

…などが考えられます。
品質とのかねあいもあるので、初心者には判断が難しいのですが、挑戦する価値はあります。

おすすめは、似たような製品で、今と昔の加工方法の違いを探すことです。
昔から加工している製品は、意外と加工方法が変更されていなかったりします。
そのため、よりよい加工方法が発明されていても、それが反映されていないことがあるのです。
資料をよく見て、そういう製品がないか探しましょう。
新しい加工方法を反映させることで、加工時間を短くできるかもしれません。
NCプログラムの勉強にもなりますし、先輩たちが試行錯誤した足跡をたどることも出来ます。
ただし、加工方法が変更されていないのは、思わぬ理由があることも。(加工を変更するときは、顧客に報告が必要なこともあるのです)
必ず、先輩や上司に相談しながら改善しましょう。


☆リードタイムを縮める
段取者でいうと、図面やCADモデルを渡されてから、1個目の製品を完成させるまでの時間を縮めることです。
納期を短く設定できるので、営業さんも大助かりです。
仕事の少ない今、一番大切なことかもしれません。

しかし、組織的な問題や、部署間の連携が大きく影響するため、個人で出来る改善は、限られてしまいます。
技量を磨いて仕事が速くできるようにしたり、簡略化できる作業がないか探すなど、地道な積み重ねになると思います。

また、前工程・後工程への気配りも、結果的に納期を縮める効果があります。
検査がしやすいように資料を揃えたり、製品の向きを変更したり。
手仕上げが少なくなるよう、機械加工を工夫したり。
他部署の人と仲良くなっていれば、思わぬ会話の中に、改善のヒントを見つける時もあります。
会社内の連携が良くなれば、納期短縮にもつながるので、気配りを意識しましょう。


☆品質を安定させる
製造業において、品質とは「顧客の要求を全て満たすこと」だと思います。
それ以上でも以下でもないのですが、そもそも顧客の要求が厳しいので、とても大変です(泣)。

段取者でいうと、品質とは「不良を出さない」ことにつきると思います。
改善としては、ミスをしない工夫と、製品の寸法が安定する加工方法の追求の2つがあります。
利益が出るタイプの改善ではないので、地味になりますが、どちらも大切な改善です。

ミスをしない工夫には
・資料にわかりにくい点がないか見直す
・セットミスが発生しないか、治具を検証する
・整理整頓をする

などが考えられます。
ベテランの方は、長年の経験で、ミスをしない工夫を無意識のうちに実行しています。
先輩の行動を観察してみるのも、よい参考になります。

製品の寸法が安定する加工方法の追求には
・刃物を見直す(切削条件を見直す)
・加工方法を変更する
・加工後の検査項目を検証する

などが考えられます。
「加工時間を短くする」のと似た工夫が必要で、同じように難しい判断になります。
しかも、品質を安定させようとすると加工時間が長くなってしまったり、加工時間を短くすると品質が安定しなくなることがよくあります。
両立させるのが、とても難しいのです。


☆経費を節約する
電気代や、水道代、工具の費用や、マシニングセンターの切削油…。
工場は、たくさんのお金を消費して、動いています。
それらを節約すれば、大きな改善になります。
改善によって、節約できたお金も、計算できるので、評価されやすいのが特徴です。

例を挙げると
・機械の油漏れを直す(=油の消費量を減らす)
・刃物を摩耗の少ないものや、安いものに変更する
・工場内の室温の変化を抑える(=冷暖房の電気代を抑える)

などがあります。
刃物や消耗品は、想像しているよりもずっと高いことがあります。
カタログやAmazonで値段を確認してみると、改善効果の高さがわかると思います。


☆整理整頓をする
整理整頓も、立派な改善です。
費用効果がわかりにくいので、軽視されてしまうこともありますが、一番実施しやすいので、積極的に行動しましょう。
作業のミスを減らしたり、現場の危険を取り除くことが出来ます。
管理者の方には、他の改善よりもわかりやすいせいか、予想外の高評価を得ることもあります(笑)。

ポイントは、色分けです。
資料や工具を同じ色で統一したり、道具と置き場を同じ色にすることが考えられます。
見ただけでわかりやすく、間違いも起こりにくくなるので、効果が大きいです。

オイルのタンクと、機械の油口を同じ色にすると、間違った油を入れる失敗がなくなります。
同じ製品に使う刃物は、同じ色のテープを巻いて管理しておくと、探すのが楽になります。
その他、私はボルトのサイズを見ただけではわからないので、サイズごとに色を決めて、レンチとボルトの色を統一したらいいのに…と考えました。
しかし、製品に色うつりするといけないので、却下されてしまいました。
何か良いアイディアがあったら、応用してみてください…。

その他、掃除を念入りにしていると、整理整頓の改善アイディアが思いつくこともあります。
いつもとは違う視点で、現場を見ることが出来るからです。
仕事がないけれど、改善も思いつかない…という時は、とりあえず掃除です!
ぼんやりしているのとでは、周りの評価も違ってきます。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

改善は、初心者の方が思いつきやすいかもしれません。
仕事に慣れてしまうと、いつものやり方が、当たり前になってしまうからです。
仕事のやりにくいところや、わかりにくいところを、思い出してみましょう。
細かい改善も、たくさん行なえば大きな効果を生みます。

最後に注意点ですが、改善を実施する時は、連絡と相談を忘れずに!
上司に対してはもちろんですが、出来れば、該当する人全員に話しましょう。
自分にとっては便利になっても、他の作業者には不便になってしまうことがよくあります。
また、いつもやっていた作業が変更になることを、快く思わない人がいるかもしれません。
逆に、事前に相談すれば、よりよいアイディアをもらえることもあります。
職場の人間関係を大切にしましょう。

景気が悪いと、職場の空気が悪くなって来ると思いますが、改善がその突破口になるといいですね。
厳しいご時世ですが、頑張っていきましょう!


…今月は仕事があるかな〜?
posted by center drill at 17:09 | Comment(0) | コラム

製造業の魅力を語る!?

「おすすめの本」カテゴリとは少し違うので、
コラムとして、漫画を紹介したいと思います。

「シブすぎ技術に男泣き!」見ル野栄司


製造業に勤めていた作者が、
ものづくりの魅力を語る、コミックエッセイです。

この業界ならではの、「あるある」話が面白いです。
作者は、機械設計などをされていた方で、
金属加工に関する話は、ほとんど出て来ません。
(「ボール盤」の回だけ、すごく共感できます)
それでも、似た空気を知っているだけに、より楽しめると思います。


最近は、TVのトーク番組「アメトーーク」で、
「町工場芸人」がテーマになるなど、
製造業のネタが、一般に取り上げられて、嬉しいです。
(4月1日の特番で、再び「町工場芸人」をやるようです)

もっとも、ものづくりの世界をを知らない人たちに、
ちゃんと伝わるのかは、微妙なのですが…。

NHKで金属加工の工場を紹介している番組を、両親に見せても、
私のしている仕事を、あまり理解してもらえなかった、
…という、苦い経験があります。
何故か、飛行機を造っていると、思われています。
無念。
posted by center drill at 23:57 | Comment(0) | コラム

工具カタログは優れた参考書

金属切削加工について知識を得たいと考えた場合、
一番無難なのは、専門書を探す事です。
初心者向けから、学術書に近いものまで、様々な本が存在します。
しかし、残念ながら、値段が高い!

そこで、とりあえず知識を得る本として、
工具カタログをお薦めします。
ドリルやエンドミルなど、刃物のカタログです。
たぶん職場に、山のようにあるはずです。

新人の頃は、刃物の購入まで権限がないと思いますし、
加工は、なるべく現場にある刃物で済ませるのが基本です。
その結果、
カタログを手にした事のない人も、多いのではないでしょうか?

実は工具カタログには、刃物の紹介以外に、
様々な情報が書き込まれているのです。
特に注目したいのが巻末で、切削条件表や金属の性質、
被削材が削れない場合のトラブルシューティングなど、
メーカーや販売店ごとに、工夫が凝らされています。

現場に即した情報が多いので、とても勉強になるのです。
仕事の合間に時間が出来たら、試しに眺めてみてください。
気に入ったカタログがあったら、工具店の営業さんに頼んだり、
展示会で貰って、自分用にするのも悪くありません。
メーカーの営業の方にも喜ばれるので、
仲良くなるきっかけになるかもしれません。

ベテランの方も、カタログはよく読んでいます。
型番やページまで暗記していて、時々畏怖の念を抱きます(笑)。

ちなみに私のお気に入りは、ミスミの「Tool-Direct」です。
かなり情報が充実しているので、読み応えがあります。
posted by center drill at 14:55 | Comment(15) | コラム
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。