工場で働く際の、「安全」について。

コンベアーがあります。

すーっと。

ゆっくり動いています。
東京へ行くと見かける、動く歩道くらいのスピード。

乗っかっても平気。
別にバランス崩すわけも無いし。

↑これ絶対にダメです。

工場で働いて半年もすると、もうそんなの当たり前になるのですが…。

工場の中というのは、普通に、危険な所です。
逆を言うと、日々生活をしている環境と言うものが、
どれだけ安全について徹底されているか、ということでもあります。

工場は、そこまで安全に徹底してしまうと、わずらわしい部分があるので、
「これくらいは常識だから大丈夫だろう」みたいなセーフティは
だいたい取り払われています。

でも、現場経験の無い人にとっては…。

思っている以上に危険です。
工場の常識を知らないのですから。

たとえば、冒頭のコンベアーですが、仮に機械に5馬力の力があったとします。
歩くくらいのスピードで動いているけれど、力は馬が5頭分。
万が一、足が隙間みたいなところに挟まってしまったら、
その力で引っ張られるのです。

足が折れるだけで済めばいいのですが、助けを呼んでも
だれも聞こえない位置だったりすると、命の危険もあります。

機械が少しでも動いているところに入ってはいけません。
先にスイッチを切りましょう。

その他
・はり紙は全て読みましょう。
 ぼんやりしていると、進入禁止のところで作業していることも。

・物が落ちてくるかもしれない場所、自分が落ちるかもしれない場所
 には絶対に入ってはいけません。

・作業をしているときの手足の位置、体勢を常に意識しましょう。
 無理がないか、工具などが体にぶつかる危険が無いか、
 常に考えましょう。

・機械の非常停止ボタンの位置を必ず確認!
 やばいと判断したら、ためらい無く押す!

もし、これを読んでいるあなたが、はじめて工場で働く人だったら、
安全についての意識だけは、過剰なくらいに持っていてください。

教える立場の方は、新人は信じられないくらいに何も知らないのだ、
と考えていただけるとありがたいです。

現場に飛び込んで2年弱、これまで無事に事故も無くすごせたのは、
運が良かっただけかもしれない、と思う時があります。
posted by center drill at 23:32 | Comment(0) | 基礎知識

段取り作業の流れ・外段取り編

機械を止めないでできる作業かどうかで
(つまり生産に影響するかしないかで)
外段取り・内段取りに区別されます。

外段取り
(機械を操作しないでできる、準備作業)

1.図面の確認
まずは図面をよく見て、どういう流れで加工するか
イメージをします。

2.工程の設計
一度の加工で全て加工することはできないため、
最初に上面を加工して、ひっくり返して…
という、加工の順番を決めます。
これは特に難しい作業なので、
上司や専任の人がやるかもです。

3.図面から、CADデータ作成
最近はCAD・CAMソフトを使ってプログラミングする
ことが多いので、
図面のデータをCADで作成します。
工数削減のため、発注元のお客様がデータをくれることも
あるそうです。

4.工具の選定・ツーリング
プログラムの作成と平行になりますが、
使用する刃物を決めていきます。
最初はだいたいこんな感じで…とおおまかな刃物の
種類を決めておいて、プログラムに支障があったら、
修正していきます。
特殊な刃物をする場合は、早めに発注しないと予定に影響が。

5.治具の設計
ワークを固定するための治具も考えなくてはなりません。
刃物の干渉も問題になってくるので、プログラムと同時に
よく考える必要があります。
この作業も難しいので、専門の人がいるかもしれません。

6.プログラムの作成
すごい人になると、機械の操作盤でプログラムを作成してしまう
こともあるようですが…。
基本的にはPCで、CAMかテキストエディタを使用して作成します。
プログラムのエラーを確認するために、シミュレーションソフトも
使います。

外段取りは、機械の操作が無いので、機械の稼働率に
影響を与えません。
加工の予定日までにしっかりと準備できれば、
よい内段取りができます。

…しかし、考えなければいけないことが多いので、
用意し忘れて、内段取り当日に大騒ぎ、などということも。
posted by center drill at 22:49 | Comment(0) | 基礎知識

基本単位はミリ

タイトルのとおりでございます。

現場で飛び交う数字に、単位が付いていない場合、
だいたい「ミリメートル」を指します。

「12のブロックゲージ」は12ミリのブロックゲージ。

「首下40のボルト」はネジ部分の長さが40ミリのボルト。

慣れればなんてことは無いのですが、この業界に入るまでは
「センチメートル」の方が一般的だったので、
頭の中での変換が大変でした。

「コンマ2」が0.2ミリ。
「100分の5」が0.05ミリ。
これらも、聞いてわからないことはないのですが、
慣れるまでは少し大変でした。


↓「50ミリ。」です。


↓体長50000〜100000ミリの怪獣です。


posted by center drill at 21:19 | Comment(0) | 基礎知識

現場の必須アイテム

現場での作業でよく使う道具を書きます。
会社が支給してくれる場合は、ラッキー、と思いましょう。

だめなら…ホームセンターへ行きましょう。

・定規(金サシ)



画像:金物の専門通販アルデ


製品のおおまかな寸法や、工具のアプローチ確認によく使います。
工具の干渉を見るのにも便利なので、いつも持っていたい道具です。


・安全靴
ミドリ安全 歩くための、 歩いても疲れにくい フラットソール 安全靴 樹脂先芯 WK310L

足を守る、作業用の靴です。
2000円くらいからありますが、高いものは1万円を超えます。
自腹を切るのなら、最初のうちは3000円くらいのもので
良いと思います。
(安いものは安全靴ではなくセーフティシューズといいますが、
よほど危険な現場でなければ、こちらで大丈夫だと思います)

あとは、作業現場の危険度と相談して、投資しましょう。

選ぶポイントとしては、油の多い現場なので、
耐油性と底面の滑りにくさに重点を置いて、検討するといいと思います。


・ヘルメットの汗対策



画像:金物の専門通販アルデ


工場内は危険なので、ヘルメットを着用していると思います。
問題は、夏場は暑くて蒸れること!
対策商品もいろいろあるので、自分に合うものを
探してみてください。


・関数電卓
カシオ関数電卓 FX-912ES-N

三角関数など、普通の電卓にはできない複雑な計算をする、
優れものの電卓です。
この業界に入るまで、こんな便利なものがあるとは知りませんでした(笑)。
ホームセンターのほか、家電店でも見かけます。

2000〜3000円はするので、少し高いですが、図面を読むときや
段取りには必須だと思います。

迷ったらとりあえず、
三角関数(sin,cos,tan)と逆三角関数(sin-1など)とπ(3.14…)が
使えれば充分なので、サイズや値段で決めましょう。
posted by center drill at 22:10 | Comment(0) | 基礎知識

治具の通りだし その1

マシニングセンターに製品を載せるとします。

でもこれ、普通に人間の手で載せただけでは、
マシンの主軸に対して、垂直・水平には載りません。

通りだし01

どんなに綺麗に載せたつもりでいても、
1mmくらいは傾いてしまうと思います。

でも、切削加工の場合、1mmも傾いてしまったら、話になりません。
荒加工ならまだしも、仕上げ加工で1mmもずれてしまったら、
寸法の公差から外れてしまいます。

そこで、あらかじめ垂直・水平の位置に、
位置決めピンや突き当てをセットして、
人間の手で製品を取り付けても垂直・水平に置けるようにします。

通りだし02

でも、ピンの穴や、突き当てだって、マシニングセンターに
セットする場合は、垂直・水平になるように、
うまく調整をしなければいけません。

通りだし03

この時に必要な作業を「通りだし」と言います。

つづく
タグ:治具
posted by center drill at 17:57 | Comment(0) | 基礎知識

治具の通りだし その2

治具の通りだしを行うためには、マシニングセンターの主軸に、
ダイヤルゲージをつけて行ないます。

513シリーズ テストインジケータ (てこ式ダイヤルゲージ) TI TI-123H

ダイヤルゲージのセット

ドリル用のホルダの先に、ダイヤルゲージをセットします。
ダイヤルゲージを落としやすいので注意しましょう。
(私は3〜4回落として、ダイヤルゲージをダメにしています。気を付けましょう…)

マグネットスタンドがあれば便利です。
(STRAIGHT/ストレート) マグネットベーススタンド 16-610



あとは、マシニングセンターを手動で動かし、
突き当てなどの通りをダイヤルゲージで確認します。

両端のずれ量を確認したら、ハンマーなどで叩いて調整します。

ハンマーで調整



問題なのは、1枚の治具プレートなど、
調整したい両端が別のパーツに分かれていないタイプです。

片側をハンマーで叩くと、反対側まで動いてしまいます。

この作業は慣れが必要です。
治具の一カ所だけを固定して、叩くと、治具がどう動くのか
イメージしましょう。

半分だけ動かす

治具の中央が固定されている場合、
端を叩くと反対側も同じだけ動きます。
なので、叩いて動かす量を傾き量の半分だけにしないと、
なかなか傾きを修正することが出来ません。
タグ:治具
posted by center drill at 18:17 | Comment(0) | 基礎知識

ミリの他にインチもあります。

基本単位はミリと書きましたが、もう一つ時々使う単位があります。

アメリカの製品図面などで見かける「インチ」です。

日本に暮らしていると、あまりなじみのない単位で、
ピンと来ないのがやっかいです。

一応、

1インチ=25.4ミリです。

逆に言うと、

1ミリ=0.03937インチですが…これはあまり使いません。

とりあえず、インチを見かけたら、「25.4をかける」とだけ
憶えておきましょう。

ちなみに、マシニングセンターやCAMソフトは、インチ表示にも
ほとんど対応しているようです。

設定をインチ表示にするか、全部ミリメートルに計算し直すかは、
会社によって対応が違うと思うので、確認してみてください。
posted by center drill at 22:55 | Comment(0) | 基礎知識

面取り

「めんとり」…料理用語にもありますが、意味はほぼ同じで、角を取る作業を言います。

金属を切削によって加工すると、どうしてもバリが出てしまいます。
また、角度が90度以下の鋭角なカド部(ピン角)は、刃物と同じくらい切れ味が良く、とても危険です。
そこで、加工した製品の角を斜めに切り落とし、とがった部分を無くすのです。

工業関係者にとっては当然とも言える行為ですが、初心者だった私は
「面取り」についても、やはり知りませんでした。
ピン角を不用意に触っては傷だらけになっていました。
世に出回っている製品(文房具や家具など)のほとんど全てに、「面取り」は施されているわけですし、気が付かない私がアホなだけかもしれませんが…。

ちなみにマシニングセンターで面取り加工を行う場合、
工具は専用の面取りカッター、テーパ(傾斜)のついたエンドミルなどを使います。
専用の形に整形された工具を使うことも多いです。
特殊な形状が多い分、工具長の計測やNCプログラムのZ追い込み量には
注意が必要です。
良くわからなくなってしまったら、断面図のイラストを描いて、イメージをしっかりと持つようにしましょう。


糸面取り
目に見るか見えないかの小さな面取りを「糸面取り」と言います。
目安として、C0.3ミリ位を狙って加工することが多いようです。
図面を見ると「指示の無い箇所は全て糸面取り」といった注意書きをよく見ます。

C面取り
「しーめんとり」と言います。
カドを斜めに落とす、オーソドックスな面取りです。
図面に「C5」とあったら、それぞれの面から5ミリの辺を切り落とす面取りになります。

C面取り

プログラムを組むときは90°の角度を持った刃物で、径方向に5ミリ追い込むか、Z方向に5ミリ追い込む…というパスを考えます。


R面取り
「あーるめんとり」です。
丸みを帯びた形状を「R形状」と言ったりするのですが、丸いカド部のことを言います。
「R5」という指示があったら、それぞれの辺から5ミリ中に入った位置に中心のある、半径5ミリの円状の面取りを行ないます。

R面取り

R面取りは、基本的に専用の形状の刃物を使用するしかありません。
刃物の形状が特殊になる分、プログラムの作成や品質の維持が難しい、厄介な面取りです。

図面を作成する方には、是非とも少なくしていただきたい面取りだったりします。
posted by center drill at 18:27 | Comment(5) | 基礎知識

ダウンカットとアップカット

エンドミルなどで側面加工をするときの話です。
エンドミルによる側面削り

通常の刃物はM03で正回転させて加工させます。
上から見ると、時計回りです。
刃物を上から見ると時計回り


主軸の移動方向と、刃物の方向が同じになる加工を
アップカットと言います。
アップカット
正回転の時は右側通行です。

逆に、主軸の移動方向と、刃物の方向が逆になる加工を
ダウンカットと言います。
ダウンカット
正回転の時は左側通行です。

刃物の回転が逆になれば、当然逆になるのですが、
特殊な刃物以外はほとんど時計回りなので、
この2パターンだけ抑えておけば問題ないと思います。

つまり、
・被削材に対して側通行なら、アップカット(GコードはG42)
・被削材に対して側通行なら、ダウンカット(GコードはG41)
これだけ覚えておきましょう。

特徴としては、
アップカットで削ると加工面の仕上がりが綺麗で、
ダウンカットで削ると刃物の摩耗が少ないという傾向にあるようです。

私の勤めている職場では、9割方ダウンカットで削っています。
加工面の仕上がりが悪い時など、特殊な時だけアップカットを試します。
(ダウンカットでも綺麗に削れることが多いので、
刃物の摩耗を優先させているのだと思います)
これは、職場の方針などで違うケースもあると思います。
先輩など分かる人に聞いてみましょう。

GコードのG41とG42は工具径補正と言います。
詳しくはNCプログラムの項目で解説しますが、
刃物の径をマシニングセンターに計算させて、加工パスを作るときに使います。
とりあえずは、左側通行だったらG41とだけ覚えておけば充分です。
タグ:gコード
posted by center drill at 12:25 | Comment(0) | 基礎知識

三角関数をマスターしよう その1

金属切削加工の段取り作業を行なう者にとって、避けて通れないのが三角関数です。

三角関数はsin,cos,tan

高校時代に数学の授業で習ったものの、覚えていないという方も多いのではないでしょうか。
特に数学があまり得意でなかった方には、高いハードルと感じてしまうかもしれません。
でも大丈夫です。難しい理屈を覚える必要はありません。
工具の使い方を覚えるように、仕事に必要な計算方法だけ身につければOKです。
何度も繰り返し使っていれば、いつの間にか自然とこなせるようになるはずです。
焦らずにマスターしていきましょう!

そもそも三角関数なんて何に使うの?


三角関数は、傾斜(テーパー)とか角度が出没するときにお世話になります。
工業製品は複雑な形状でも大概は直線と円から成り立っています。
円と垂直の交わる所は垂直ばかりでは成り立たないので、図面に角度が記されます。
しかし、図面というのは最低限の数値しか書き込まれていないので、「この角度の付いた部分の長さはいくつなのだろう?」という部分がたくさん出てきます。
マシニングセンターでNCプログラムを使って実際に金属を切削するときには、そういうよくわからない座標を全てはっきりさせておかなくてはなりません。
このような「角度」から「斜め」の点や長さを求めるのに、三角関数が必要になるのです。
(加工の際には工具の半径を考慮した径補正の確認にも三角関数は役立ちます)

更に言うと、加工が終わった後の検査も、図面通りに加工できたことを確認する必要があります。
ここでも同じように三角関数を使い、指示通りの加工が完成したことを証明しなければ、作業が完了しないのです。

三角関数でできること


ざっくり言うと、
「直角三角形の3辺と直角以外の角度のうち、2つの要素が解れば、残りを全て計算で割り出すことができる」
のが三角関数のすごい所です。
(厳密には三角関数の他に「三平方の定理」も使います)

直角三角形の4つの要素 角度θ,辺r,x,y

まあ、三角関数の深淵ははそんなものではない!と数学の先生に怒られそうですが、とりあえず工場の現場ではこれだけできれば大丈夫です。

関数電卓について


現場の必須アイテム」でも紹介しましたが、段取りにとって無くてはならない大切な道具です。



高校数学とは違い、工業の三角関数は小数点第3位などの有限小数で求めなくてはなりません。
関数電卓はそんな三角関数やπ(3.14...)の計算を一瞬で行なってくれる心強い味方です。
ホームセンターや家電量販店の電卓コーナーをよく見ると、やたらボタンの多い電卓が陳列されています。
値段はおよそ2,000〜3,000円くらいです。
おそらく「関数電卓」と名乗っている製品であれば、機能が足りないということは無いと思いますが、三角関数、逆三角関数に対応している表記くらいは確認おくと安心です。
メーカーによっても微妙に操作性が違うので、質問しやすい先輩に使っているメーカーを確認すると良いでしょう。
(先輩と同じメーカーにしておくと操作の質問がしやすいのですが、置きっぱなしにしたとき誰のかわからなくなるというのも、あるあるだったりします)
会社の方針等もあるかもしれないので、念のため聞いておくことをおすすめします。

あと、スマホアプリの「関数電卓」もあるようです。
勉強のみの目的であれば、試しに触ってみても良いと思うのですが、仕事で使うことが確実なら、アプリではなく本物の電卓購入を検討してください。
操作性が違うと、あとで本物の関数電卓を手にしたときに使いづらくなってしまう恐れがあります。
また、仕事中にスマホをいじっているのは、事情を知らない人が見たときに印象が悪くなってしまうので得策ではありません。
あと、数万円もするスマホを工場の過酷な環境で操作する機会はなるべく減らした方が方が良いでしょう。

工業用の三角関数計算を特訓できるページを用意しました!


繰り返しの練習ができるように、Webアプリっぽいページを用意しました。

三角関数計算【工業用】特訓ツール

(利用しているブログサービスでは実現が難しかったので、別サイトになります。ご了承ください)
ボタンを押すたびに問題が変わり、答えが表示されるというだけのシンプル設計です。
一応、スマホ対応で、一度読み込んだ後はデータ読み込みが無いので通信容量もあまり消費しません。
オプション設定で、出題内容も変えられるので、学習状況に応じて難易度変更が可能です。
全部チェックつけて、余裕で答えられるようになれば、(工業用の)三角関数マスターです。

三角関数計算【工業用】特訓ツール

「三角関数をマスターしよう その2」へ>
posted by center drill at 23:22 | Comment(0) | 基礎知識

三角関数をマスターしよう その2

<「三角関数をマスターしよう その1」へ

直角三角形の計算は12パターン


三角関数の計算を方法を解説する前に知っておいて頂きたいのは、工場で必要になる三角関数の計算は「全部で12パターンしかない」と言うことです。
直角三角形の3辺と直角以外の角度を合わせた4つの要素のうち2つを選ぶ組み合わせが12種類しかないのです。

全部で12パターン

12パターンも覚えられないよ、と思うかもしれませんが、計算式は非常に単純なものばかりです。
さらに公式を覚えられればもっと少ない数で済みます。
仮にどうしても数学が苦手という方も、最後の手段として12パターン全暗記で乗り切れるのです。
計算は関数電卓がやってくれます。入力の仕方さえ覚えてしまえば、すごい仕事のできる先輩とも(三角関数の計算速度だけは)差が無くなってしまいます。
こんなに簡単にレベルアップできる技術はそんなにありません。苦手だからといって諦めずにマスターしてください。

※「直角三角形の3辺と直角以外の角度の4つの要素」…直角以外の角度は2つありますが、三角形の内角の和は180°なので、1つがわかれば残りもわかります(180° - 90° - θ=残りの角度)。なので角度は1つの要素として考え、「4つの要素」と表現しています。

直角三角形90°−もう片方の角度で計算可能

直角三角形の部位の名称


まずは直角三角形の各部位の名前から。
このサイトでは3辺を「底辺」「高さ」「斜辺」と呼びます。

斜辺(r)、底辺(x)、高さ(y)

これはローカルな呼び名ですが、「底辺」と「高さ」が小学生で習う三角形の面積でおなじみの名称なので覚えやすい気がします。
「斜辺」は正式名称っぽいのですが、漢字からも「斜めの辺」とわかるので採用です。
アルファベットで表すときは「底辺=x」「高さ=y」「斜辺=r」とします。
このアルファベットは数学の2次元座標を根拠にしています(rは斜辺を半径に見立てことができるから)が、これも正式かというとそうでもないようなので、とりあえずの記号とさせてください。

ここで重要なのが、左側の角度がθ、右下が直角となるようにすることです。
この位置関係を間違えると、計算しても正しい答えがでません。

向きが重要!

必ず向きと位置を同じにしてください。
練習中は、完全に覚えるまではこの向き固定にしましょう。
実践の場合も回転させたり反転させたりして、同じ位置関係になるよう合わせてから計算するようにします。
慣れないうちは毎回紙に書いて、位置関係を間違えていないか確認した方が良いでしょう。
私は今も不安になると紙を利用しています。

まずはサインコサインタンジェントの位置を覚える


この直角三角形の角にsin(サイン)、cos(コサイン)、tan(タンジェント)の頭文字を筆記体にしたアルファベットをあてがいます。

上の角が「s」、左が「c」、右が「t」

参考書などでもよく見かける図ですが、まずはこれを暗記してください。
何も見ずに描けるまで何度も練習してください。直角とθも忘れずに。

いきなり筆記体って何だよって感じのこじつけですが、これを覚えると、sin、cos、tanの使い方をすぐに思い出すことができるので便利です。

高さyと斜辺rが関わるときはsin
rとyを使うときはsin

底辺xと斜辺rが関わるときはcos
rとxを使うときはcos

高さyと底辺xが関わるときはtan
xとyを使うときはtan

となります。

三角関数の記号を間違えないために


更に高さyが一番上、斜辺rが一番下のこんな階層を覚えてください。

y、x、rの順

これを覚えておくと、三角関数の基本公式で混乱することが無くなります。

tanθ=y÷x、sinθ=y÷r、cosθ=x÷r、
yが上、rが下

割り算では、yが必ず上、rが必ず下になります。

三角関数の公式の使い方


この3つの公式を使えば、直角以外の角と1辺から残りの2辺を計算できるようになります。

yとθが判明していれば
x = y÷tanθ
r = y÷sinθ
x = y÷tanθ、r = y÷sinθ


xとθが判明していれば
y = tanθ×x
r = x÷cosθ
y = tanθ×x、r = x÷cosθ

rとθが判明していれば
y = sinθ×r
x = cosθ×r
y = sinθ×r 、x = cosθ×r

式の移動は大丈夫でしょうか。割り算の分母を式の反対側に移動するときは掛け算、掛け算されている値を式の反対側に移動させるときはその数で割ります。

式の両辺に同じ値をかけたり割ったりすることで移動させることができる

慣れるまではこれも紙に書いて丁寧に考えたほうが良いでしょう。
式の移動がどうしても理解しづらいときは、6パターンをそのまま覚えてしまうのも一つの手です。
完全に覚えてしまえば、公式を展開する手間がなくなるので、そのぶん速く計算できます。

ここまでわかれば、12パターンのうち半分の6パターンが完了です。
「三角関数計算【工業用】特訓ツール」を使って、練習してみて下さい。
(出題オプションの1〜6が対象です)

「三角関数をマスターしよう その3」へ>
posted by center drill at 10:31 | Comment(0) | 基礎知識

三角関数をマスターしよう その3

<「三角関数をマスターしよう その2」へ

角度を求めるアークサイン・・・なにそれ?


次は角度の求め方です。
直角二等辺三角形の2辺がわかれば、角度も判明してしまうのです。

使うのは、
逆三角関数のアークサイン、アークコサイン、アークタンジェントです。

θ=sin-1(y÷r)、θ=cos-1(x÷r)、θ=tan-1(y÷x)

記号で言うとそれぞれ、
arcsin(asin)またはsin-1
arccos(acos)またはcos-1
arctan(atan)またはtan-1
となります。
関数電卓をよーく探すと、どちらかの記号が見つかるはずです(機種によりますがshiftキーなどを押す必要があるかもしれません)。

さて、この「アーク」ですが、私は工場に勤めるまで知りませんでした。
高校数学では習わなかったような気がします。私が授業中に寝ていただけかもしれませんが。

新しい概念にたじろいでしまいましたが、使い方だけならそんなに難しくありません。

θ=sin-1(y÷r)
θ=sin-1(y÷r)

θ=cos-1(x÷r)
θ=cos-1(x÷r)

θ=tan-1(y÷x)
θ=tan-1(y÷x)

と関数電卓で打てば、角度が求められます。
rとxとyの関係は前に覚えたsin、cos、tanの基本公式と同じなので、使い方だけ覚えれば大丈夫です。

残るは三平方の定理


残るパターンは直角二等辺三角形の2辺から残りの1辺を計算する方法です。
といってもこれは中学校で習う三平方の定理(ピタゴラスの定理)で求めることができます。
こ、ここに来て三角関数が関係ないとは・・・!

r2=x2+y2

底辺の2乗と高さの2乗を足したものが斜辺の2乗と同じになるというものです。

各辺の求め方はこの公式を展開して

r=√(x2+y2)、x=√(r2−y2)、y=√(r2−x2)

つまり
r=√(x2+y2)
r=√(x2+y2)

x=√(r2−y2)
x=√(r2−y2)

y=√(r2−x2)
y=√(r2−x2)

となります。ルートと2乗しか出てこないので、普通の計算機でも計算できますが、関数電卓の場合、括弧()が使えるので、1度に計算できます。

以上が直角三角形の角度と辺を求める12個の式です。
三角関数の基本公式3つと三平方の定理を暗記して、そこから式を展開しても良いですし、全部丸暗記でもかまいません。
自分に合った方法で、三角関数マスターを目指してください。

マスターする上で大切なことは計算を間違えないことです。
斜辺よりも底辺や高さが長くなることはないとか、三角形の見た目からしてこの角度が20°になるはずが無いなど、いろいろな方法でチェックする癖をつけましょう。
幸い三角関数は検算がたくさんできます。(例えば斜辺の答えを出したら、その斜辺の答えを元に、底辺と高さと角度を求めて合っているか確認できます)
もし、おかしいと感じたら、機械を動かす前に、もう一度確認しましょう。
ネットで三角関数の公式を再確認しても良いですし、CADで描いて長さを確認する方法もあります。
「お忙しいところすみません!」と断って、先輩や同僚にチェックしてもらうのもアリです。
大切な加工品やマシニングセンターをダメにしてしまうことが無いよう、答えに間違えがないと断言できるまで確認することが大切です。

工業の図面には、至る所に直角三角形が隠れています。三角関数を使って、表示されていない不親切な辺の長さや角度をどんどん暴いてやりましょう。

三角関数のまとめ


ここまで読んでくださった方のために、便利な一覧表をご用意しました。

三角関数一覧表
※クリックすると、少し大きめに表示されます。

印刷して使えるPDFバージョンはこちら

紙を見ながらだと、どうしても計算が遅くなってしまうので、最終的にはこの一覧表を利用しないで計算できるようになって下さい。
そのため、使っていると恥ずかしい「三角関数カンニングペーパー」という題名にしておきました。
三角関数計算【工業用】特訓ツール」を使って、早く手放せるように何度も練習して下さい。

…さらに、答え合わせ用のツールとして、「【工業用】三角関数計算ツール」というWebアプリも作ってみました。
計算練習の答え合わせにご利用下さい。

※これらのツールやサイトの情報を利用したことによって問題が発生したとしても、申し訳ございませんが責任をとることはできません。
 くどいですが、工作機械が壊れてしまったり、製品が不良品になってしまったら大変です。
 おかしいと思ったら先輩に相談するなど、必ず2重チェックを行なって下さい。

posted by center drill at 15:17 | Comment(0) | 基礎知識
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