工具カタログを利用した、切削条件の求め方
ここでは、工具メーカーのカタログを利用した、切削条件の求め方を解説します。
メーカーのサイトに用意されている、電子カタログを元に解説します。
実際にリンク先を確認しながら、読んでいただければ幸いです。
(リンク先のカタログの解説は2009年11月現在のものです。
変更になる場合がありますので、ご了承下さい)
※加工する被削材の材質はアルミとします。
まずは、φ10のエンドミルを使う場合を考えてみましょう。
オーエスジーの「MG-EDS」という製品で考えてみます。
2枚刃のショートエンドミルです。

ミーリング工具カタログの2009-2010年版だと、157〜158ページにあるのですが…PDFだと、探すのが大変ですね。
ネットからだと、「カタログ検索」のエンドミルから、
工具形状を「スクエア(通常形)」→「スクエア」
表面処理を「ノンコーディング」(他はデフォルト)で「次へ」、
外形を「10」と入力して検索すれば、表示されると思います。
ここで切削条件一覧も表示されるので、確認してみてください。
(カタログの場合は、520ページです)
「呼び」というのが工具径のことなので、φ10でアルミ合金の条件を確認すると、
主軸回転数が3150、送りが300であることがわかります。
そのものズバリなので、この切削条件でNCプログラムを組めば、比較的無難に削れるはずです。
せっかくなので、切削速度と一刃あたりの送りを計算してみましょう。
計算式は、「切削条件 計算のまとめ」のとおりです。
切削速度は

切削速度 = 主軸回転数 × 直径 × π ÷ 1000ですから、
3150 × 10 × π ÷ 1000 = 約99 m/min
切削速度は、おおよそ100メーターくらいを推奨しているようです。
一刃あたりの送りは、

一刃当たりの送り = 送り ÷ 主軸回転数 ÷ 刃数なので、
300 ÷ 3150 ÷ 2枚刃 = 約0.05
であることがわかります。
切削速度と一刃あたりの送りは、計算しなくても加工できますが、習慣をつけておくことをおすすめします。
「アルミを加工するときのエンドミルは切削速度が100メーターくらい」
という知識は、繰り返し計算をしていないと、なかなか身につかないからです。
次は、φ80の正面フライスを考えてみましょう。
MITSUBISHIさんにも、WEBカタログという非常に凝ったコンテンツが用意されています。
今回使う工具は、画面上部の「回転工具」→「正面フライス」を選択し、左に表示される一覧から、「BF407形」をクリックしてください。
今回は直径80ミリの工具ですから、一覧の一番上の「BF407R0305C」という製品を使うことになります。
刃数は5枚ですね。
このヘッドに、チップ式の刃を取り付けて、使用するわけです。
チップ式なので、数種類のチップを用途に分けて変更することが可能です。
候補となるチップは、画面一番下の「インサート」の表にあります。
「超硬」とか「PCD」とかありますが、これはチップの材質です。
「PCD」はダイヤモンド焼結体のことらしいので、仕上げ用に使うことが多いように思います。
ここでは通常使用を考えているので、適当に一番上の「SFAN1203ZFFR2」を選ぶことにします。
黒丸●をクリックすると、チップ(インサート)の切削条件が表示されます。
アルミを加工するのですが…えーと、種類がいくつかありますね…。
特に考えていなかったのですが、ハードな被削材は想定していないので、一番上のA6061相当で良いと思います。
切削速度が700m/min(状況に応じて、400〜1000m/minでも可)
送りが一刃あたり0.15mm(状況に応じて、0.1〜0.25でも可)とあります。
正面フライスの場合、チップ(インサート)によって、切削条件が変わります。
しかし、チップは取り外し式なので、ヘッドの径によって、主軸回転数や実際の送りは変化してしまいます。
そこで、切削速度と一刃あたりの送りが、推奨切削条件として、表示されているのです。
それでは、実際に計算してみましょう。
まずは主軸回転数です。

主軸回転数(S) = 切削速度 × 1000 ÷ 直径 ÷ πですから、
700m/min × 1000 ÷ φ80 ÷ π = 約2785(S)
となります。
主軸回転数が2785とわかれば、送りも計算できます。

送り = 主軸回転数 × 刃数 × 一刃あたりの送り なので、
2785(S) × 5枚 × 0.15mm = 約2089(F)
です。
以上が工具カタログから、切削条件を求める基本的な流れになります。
紹介したメーカー以外の場合も、ほとんど同じ流れで調べることが出来ると思います。
メーカーがわからない工具を使う場合は、似たような工具を参考にすれば、おおよその見当がつけられます。
ただし、メーカーの推奨条件が必ずしも正解とは限りません。
加工方法や被削材の剛性によって、大きく変化しますし、
会社の方針(マシニングセンターに負荷をかけないようにするか、加工時間短縮を優先するかなど)によっても、条件は変わってきます。
それぞれの会社が、それぞれの答えを、これまでの加工実績から蓄積しているはずです。
これが会社のノウハウであり、現場で働く人間の経験値なのだと思います。
実際の現場では、切削条件を決めたら、とりあえず削ってみて、加工中の音や加工後の面粗、刃物の摩耗具合などで、切削条件を少しずつ調整する…という繰り返しになります。
メーカーのサイトに用意されている、電子カタログを元に解説します。
実際にリンク先を確認しながら、読んでいただければ幸いです。
(リンク先のカタログの解説は2009年11月現在のものです。
変更になる場合がありますので、ご了承下さい)
※加工する被削材の材質はアルミとします。
まずは、φ10のエンドミルを使う場合を考えてみましょう。
オーエスジーの「MG-EDS」という製品で考えてみます。
2枚刃のショートエンドミルです。

ミーリング工具カタログの2009-2010年版だと、157〜158ページにあるのですが…PDFだと、探すのが大変ですね。
ネットからだと、「カタログ検索」のエンドミルから、
工具形状を「スクエア(通常形)」→「スクエア」
表面処理を「ノンコーディング」(他はデフォルト)で「次へ」、
外形を「10」と入力して検索すれば、表示されると思います。
ここで切削条件一覧も表示されるので、確認してみてください。
(カタログの場合は、520ページです)
「呼び」というのが工具径のことなので、φ10でアルミ合金の条件を確認すると、
主軸回転数が3150、送りが300であることがわかります。
そのものズバリなので、この切削条件でNCプログラムを組めば、比較的無難に削れるはずです。
せっかくなので、切削速度と一刃あたりの送りを計算してみましょう。
計算式は、「切削条件 計算のまとめ」のとおりです。
切削速度は

切削速度 = 主軸回転数 × 直径 × π ÷ 1000ですから、
3150 × 10 × π ÷ 1000 = 約99 m/min
切削速度は、おおよそ100メーターくらいを推奨しているようです。
一刃あたりの送りは、

一刃当たりの送り = 送り ÷ 主軸回転数 ÷ 刃数なので、
300 ÷ 3150 ÷ 2枚刃 = 約0.05
であることがわかります。
切削速度と一刃あたりの送りは、計算しなくても加工できますが、習慣をつけておくことをおすすめします。
「アルミを加工するときのエンドミルは切削速度が100メーターくらい」
という知識は、繰り返し計算をしていないと、なかなか身につかないからです。
次は、φ80の正面フライスを考えてみましょう。
MITSUBISHIさんにも、WEBカタログという非常に凝ったコンテンツが用意されています。
今回使う工具は、画面上部の「回転工具」→「正面フライス」を選択し、左に表示される一覧から、「BF407形」をクリックしてください。
今回は直径80ミリの工具ですから、一覧の一番上の「BF407R0305C」という製品を使うことになります。
刃数は5枚ですね。
このヘッドに、チップ式の刃を取り付けて、使用するわけです。
チップ式なので、数種類のチップを用途に分けて変更することが可能です。
候補となるチップは、画面一番下の「インサート」の表にあります。
「超硬」とか「PCD」とかありますが、これはチップの材質です。
「PCD」はダイヤモンド焼結体のことらしいので、仕上げ用に使うことが多いように思います。
ここでは通常使用を考えているので、適当に一番上の「SFAN1203ZFFR2」を選ぶことにします。
黒丸●をクリックすると、チップ(インサート)の切削条件が表示されます。
アルミを加工するのですが…えーと、種類がいくつかありますね…。
特に考えていなかったのですが、ハードな被削材は想定していないので、一番上のA6061相当で良いと思います。
切削速度が700m/min(状況に応じて、400〜1000m/minでも可)
送りが一刃あたり0.15mm(状況に応じて、0.1〜0.25でも可)とあります。
正面フライスの場合、チップ(インサート)によって、切削条件が変わります。
しかし、チップは取り外し式なので、ヘッドの径によって、主軸回転数や実際の送りは変化してしまいます。
そこで、切削速度と一刃あたりの送りが、推奨切削条件として、表示されているのです。
それでは、実際に計算してみましょう。
まずは主軸回転数です。

主軸回転数(S) = 切削速度 × 1000 ÷ 直径 ÷ πですから、
700m/min × 1000 ÷ φ80 ÷ π = 約2785(S)
となります。
主軸回転数が2785とわかれば、送りも計算できます。

送り = 主軸回転数 × 刃数 × 一刃あたりの送り なので、
2785(S) × 5枚 × 0.15mm = 約2089(F)
です。
以上が工具カタログから、切削条件を求める基本的な流れになります。
紹介したメーカー以外の場合も、ほとんど同じ流れで調べることが出来ると思います。
メーカーがわからない工具を使う場合は、似たような工具を参考にすれば、おおよその見当がつけられます。
ただし、メーカーの推奨条件が必ずしも正解とは限りません。
加工方法や被削材の剛性によって、大きく変化しますし、
会社の方針(マシニングセンターに負荷をかけないようにするか、加工時間短縮を優先するかなど)によっても、条件は変わってきます。
それぞれの会社が、それぞれの答えを、これまでの加工実績から蓄積しているはずです。
これが会社のノウハウであり、現場で働く人間の経験値なのだと思います。
実際の現場では、切削条件を決めたら、とりあえず削ってみて、加工中の音や加工後の面粗、刃物の摩耗具合などで、切削条件を少しずつ調整する…という繰り返しになります。
タグ:工具
posted by center drill at 22:40
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| 工具(刃物)について
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