狂いのない時計

新聞を見ていると、時々、大学の研究チームが、精度の高い時計を開発した!…なんてニュースを見かけます。

最近も、原子時計を越える光格子時計が開発されて、数千万年に一秒しか狂わないと、紹介されていました。

今までは、「そんなに精度の高い時計なんていらないじゃん」と単純に思っていました。
人類が、数千万年後も存続しているとは思えませんし…。

しかしです。
製造業に携わるようになった今、少し考えが変わりました。
「より精度の高い基準が必要」なことが、わかってきたからです。

具体的に言うと、検査具の問題です。
製品を加工したあと、寸法を確認するために毎日使用している検査具ですが、日常点検が欠かせません。
三点マイクロでマスターリングを計測したり、ノギスでブロックゲージを測ったり。
検査具の測定値が正しいことを確認しないと、製品の寸法が正しいことも保証できません。

しかし、ここで疑問が残ります。
三点マイクロやノギスの精度を保障している、マスターリングやブロックゲージが狂っていたらどうするの??
…という問題です。
けれども、この点も抜かりなし。
工業の世界は本当にきっちりしています。

基準となる計測器具は、更に精度の高い計測器を使って、定期的な点検を行っているのですね。
場合によっては、専門の業者に依頼して、確認しているそうです。
私はこの話を検査担当の先輩に聞いた時、とても驚きました。

つまり、検査具は、より精度の高い計測方法を用いて、保障していく繰り返しになっているわけです。
ということは、より精度の高い計測方法が、際限なく必要になる…ということです。

金属切削加工に必要な検査具は、ほとんどが寸法にかかわる物ですが、「時計」についても同じことが言えるのでしょう。
より精度の高い時計が存在することで、保証できる時間の基準が、より強固なものになるのですね。

もっともこれは、製造業に携わる者の視点であり、科学者は単純に、より細かい時間を計測するために、精度の高い時計を必要としているのかもしれませんが。


私にとっては、製造業に携わることで、新たな視点を獲得できたことが、大きな感動でした。
これだけでも、この業界に飛び込んだ価値があったと思います(笑)。
タグ:検査具
posted by center drill at 23:14 | Comment(2) | コラム
この記事へのコメント
ご無沙汰してます。だいぶ業界の景気が落ち込んでいるようでご苦労していると思いますがガンバッテください。この業界は1番先に不景気がやって来て、1番最後に好景気が来るので辛抱が大事ですよ!基準について私の知っていることを書かせてくださいね、というより昔のミツトヨのカタログにでていた物です。原文です『1983年の第17回国際度量衡総会でメートルは1秒の299792458分の1の時間に光が真空中を伝わる長さと定義され従来より1桁以上高い精度となりました。』という物でした。又、私が小学生のころ(35〜40年前)に教科書に1メートルの基準の金属棒が廃止になったようなことが書いてあったような気がします。それまではその金属の棒をコピーしていろいろな国にナンバーを付けて配布して、マスターとして使用してたと思います。長くなってすみませんでした。
Posted by poko at 2008年12月25日 20:06
こんにちは。
幸い、私の勤めている会社は、まだ仕事が残っているようです。
しかし、難しい仕事、納期の厳しい仕事が増えてきました。
無我夢中で仕事をしていたら、いつの間にか年の瀬…という有様です。
pokoさんのおっしゃるとおり、「1番先に不景気」になるのですね。
ニュースを見ていても、仕事と関係のありそうな業種の暗い話ばかりで、恐れおののいております。

メートルの基準のお話、興味深く拝見しました。
昔の考え方は、現場で使っているゲージと同じだったのですね。
今では、光を基準にすることで、完全な統一が可能になった…ということですね。
光を基準にする必要があるほど工業が高度化したことも、
光を長さの基準に出来るだけの技術が存在することも、
共に凄いことだと思います。

工業の素晴らしい技術が、存分にふるえるような、明るい話題があると良いのですが…
今は、自分の力を蓄えるときだと考えて、目の前の仕事に集中したいと思います。

それでは、良い年末年始となりますよう、お祈りしております。
励ましのコメントを、ありがとうございました。
Posted by center drill at 2008年12月26日 22:50
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